老後のお金、みんな心配ですよね。
年金?貯金?そして…生活保護。
今回これらの本を読むにあたって、名古屋市の生活保護受給率を調べてみました。
結果は驚愕でした。
2019年、65歳以上の40.6%、つまり2.5人に一人が生活保護を受けているんです。
「自分には関係ない」そう思っていた方、心の準備をしてください。
どれだけ真面目に生きてきたとしても、一生懸命働いて貯蓄があったとしても、未来はわかりません。寿命だってわからない。
しかも、生きていくにはお金がかかる。
それは痛いほど私たちシニア世代が分かっていることですよね。
この話を読んで「また恐怖を煽るのか」と感じる人もいるかもしれません。
でも、そうじゃないんです。
怖いからといって目をそらすのは危険です。
むしろ、ちゃんと直視して、備えることで、明日からの自分が変わるかもしれない。
私はそんな気持ちでこの本を手に取ってみました。
みなさんも一緒に考えてみてください。
『下流老人』三部作の著者とその概要
著者の藤原孝典さんは1982年生まれ。社会福祉士で、NPO法人ほっとプラスの理事を務め、反貧困ネットワーク埼玉の代表でもあります。
彼が書いた『下流老人』三部作は、以下のように展開されています。
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『下流老人』(2015年)
高齢者が生活保護基準相当の生活に陥る、その背景を探り、未来への警鐘を鳴らします。これは一部の人の問題ではなく、私たち全世代に関わる問題です。 -
『続 ・下流老人』(2016年)
死ぬまで働き続けなければならない社会がいかに不健全であるかを指摘し、特に高齢者の貧困について掘り下げています。 -
『脱 ・下流老人』(2022年)
高齢期の労働問題とともに、ロスジェネ世代の貧困も取り上げ、ともに見直し、連帯しながら生き抜くための提案を行っています。
これらの本は、急増する「下流老人」の現状とその原因を解き明かし、社会的な解決策を提示しようとしています。
ですが、藤原さんが言うように、簡単に解決できる問題ではありません。
それでも、考えなければなりません。
暗い現実を見据えて
読み進めると、次々と押し寄せる暗い現実にぐったりしました。今のところは何とかやっていけると思っている人でも、この現実に向き合うことで、気持ちがズシンと重くなるかもしれません。
でも、これが現実です。
私たちが子供だった頃のような「普通の人生」なんてもう存在しないのです。
子供が結婚して、家を出て、立派な仕事に就いても、うつ病や精神的な病に苦しんで戻ってくることもある。そして、孫まで一緒に戻ってきたらどうでしょう?年金だけでは自分もままならないのに、子供や孫まで支えなければならないかもしれません。
ロスジェネ世代は半数が非正規雇用です。結婚や子供を持つことも難しい。彼らが高齢になったらどうなるのか、想像できますか?
救命医療が発達した今、昔のようにピンピンコロリももう期待できない時代です。
印象に残った言葉
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なぜ日本の高齢者はこれほどまでに働かなければならないのか? 老後もお金がないと不安に苛まれ続ける人生、それで本当に豊かと言えるのか。
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「市場原理」ではなく、「必要原理」で共存の社会を作るべきだ。All for oneではなく、All for allで格差をなくしていこう。
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身体も精神も商品化されていく現代で、お金や商品に依存しない領域をどう作り出すのか。これが、これからの課題だ。
それでも、、、
- むやみに不安にならない。生活保護者も幸せな人はたくさんいる。
大切なことは人間関係です。
老人が老人のために働く社会
藤原さんの『脱 下流老人』で語られている「隣町珈琲」の平川克己さんとの対談が特に印象的です。
平川さんは「これからは、老人が老人のために働く時代だ」と語っていましたが、確かにその通りだと感じます。年齢を重ねると、若い頃のような効率的な働き方はできなくなりますが、それでも同じ世代のために働くことで、誰もが助け合いながら生きていく道が見えてくるのではないでしょうか。
私自身、未来に生きる子や孫が、希望を持って生きられる社会を作りたい。
それが私の夢です。
老人の延命治療について
最後に、個人的な意見をひとつ。
胃ろうについて、私は以前から疑問を感じていました。本人は何も分からない状態で、周囲が「死なせたくない」という理由だけで続けられる延命措置。その背後にあるのは、愛情かもしれませんが、時には自己満足の延長でしかないこともあります。
延命治療の胃ろうを保険適用外にすることで、家族や医療従事者も本気で向き合わざるを得なくなるのではないでしょうか。これからは、老後の医療に関しても社会全体で考えていく必要があります。
私たちには、すぐそこの、というより今まさに、の課題が山積みされています。
笑いながらYouTubeを観る時間ももちろん大切ですが、たまにはこうした厳しい現実に向き合い、自分自身の未来をどう生きるか考える時間があっても良いのでは、と今回感じました。